ウミウシ

情報としては 「Origin」 の 項目かとも 思いましたが 内容的には マメ知識 ということで こちらに掲載することにしました。

貝や 貝殻が 好きな人だと 既に知っている方も 多いかもしれないですが ウミウシも 実は貝の仲間だったりします。


海に 棲む貝は 大まかに分ければ 多板綱  腹足綱  掘足綱  二枚貝綱 と分かれ、そこから更に 細かく所属分野が

分かれていきます。 が、ここでは そのような 難しい話はナシで 浅く 浅く 行きたいと思います。


ウミウシは 貝の仲間と 言いましたが 分類的には 腹足綱 (巻貝のジャンルです) の中の 「 海に 棲むが 殻を持たない 」

裸鰓類 に 分類され、少し前に 触れた 翼足類 の クリオネとも 近縁にあたるようです。

ウミウシというと 個人により 好みが大きく分かれ、色が 多彩で綺麗だから 好きという人と、気持ち悪いという 感想を持つ人

と 分かれますね。 冷静に 簡単に形容して言えば カラフルな 巨大ナメクジ という所でしょうか。 微妙な例えか(苦笑)


種類豊富で 色彩 ・ 模様はとても華やかで 桃 ・ 紫 ・ 黄 ・ 青 他、大変 カラフル。そしてオス ・ メス同体で 頭部に一対の

触覚があり、この触覚を 牛の角に見たて 「海の牛 → ウミウシ」 となったようです。 漢字表記ならそのまま 「海牛」 ですが

一つ 呼び方を 間違えると 全くの別物になってしまうようです。 「海牛」 は 訓読みなら ウミウシ となりますが 音読みだと

カイギュウ となります。 読みは どちらも 間違いでは無いですが 「 カイギュウ 」 と 読んでしまうと 分類上、哺乳類に属する

ジュゴン や マナティーを 指すことになってしまいます。 ジュゴン ・ マナティー に関しては 「 海の人魚 」 などの 美しい例えを

良く耳にすることから カイギュウ とか言われると、ちょっと驚くけど 生物全体的な 和名の分類からいけば そうなるようです。

海つながりではありますが 随分と 違ってきてしまうようですね。


また 何故 ウミウシが 貝の仲間なのか 謎ですよね。 視覚的に、大抵の ウミウシの成体には 殻がないものが 多いです。

( ごく一部には 殻持ちのものもいるようです ) が 生態的には 持っているのだそうで、孵化初期には 何と 巻貝を持って

いるのだそうです。 調べた中で 最も驚いた点でした。 孵化当初は 貝を抱いて 浮遊しているのだそうで ( カメガイみたい )

腹足綱 の ジャンル内に 分類されているのも 納得がいく話です。


ここでは 貝に絡めた話となっており、マメ知識程度でしか 扱っていませんが 興味が湧いた方は

コチラへ→ sea-slug.com

初心者にも解りやすく 専門的に ウミウシについて 説明されています。


  貝合わせ

貝がつく 遊びといえば 平安時代の 「貝合わせ」 。 文献を見ていくと 「物くらべ」 という 花や 宝飾品等の 珍しいものを

見せ合い、どちらが 美しいかを 競うという遊びが あったようですが 意味合いとしては それと同様のものだったようです。

初期のものには 貝の内側に歌が書かれたものもあったようで 平安後期のものに 比べると 極々地味なものだったようですが

時の経過と 共に 大和絵などで 絵巻物の登場人物の絵が 入れられるようになったりと 華やかさを 増していったようです。

また 製作工程も 金箔を施してからの 絵入れだった為、大変高価であり 庶民の遊具というよりは 名門貴族の姫や 後宮に

いる女性たちの間で 興されていたようです。


(後宮: 今で言う皇居。天皇 (帝) が 貴族の姫を 入内 ( 結婚し 住まわせる。婚姻後は 姫でなく 女御となる ) させ
     女御の世話係 (女房) も含めた 大所帯で住んでいる。 部屋の名前が女御 (嫁) の 呼名になる事から
     女房の局 (世話係の下宿部屋) も 含めると 部屋数も 相当あり 規模的には かなり 大きな宮廷。
     また 内裏も 併設しているため 簡単に言えば 自宅兼職場といった雰囲気。江戸時代なら 大奥にあたる。)


(内裏: 政治にまつわる 全業務を 行う場所。帝に仕える貴族が 帝の親衛隊的?な業務、及び 警察 ・ 裁判の業務など
     国を 統治する全業務を 一拠点で 行っていた。 内裏で 働けてこそ 一流貴族の証だと 当時は 判断されていた。)


遊び方としては 今で言うところの 神経衰弱 (トランプ) の 貝殻版という例えが 一番近いでしょうか。二枚貝 (蛤など) に

絵を 施す際には 2枚ともに 同じ柄や、絵と 和歌が 対になったものが 絵入れされていたようです。 ルールは 神経衰弱とは

若干違うようですが 絵柄の合う 対の貝を どれだけ取得出来るか競い、勝敗?が 決まるような感じだったらしいです。

貝合わせは 平安時代から 江戸時代までの長期に渡り 使用されましたが 時の経過と共に、その内容も変わっていきました。

江戸時代頃になると 二枚貝が持つ 独特の特性 (同じ種の貝であっても 対の殻でなければ 絶対に ピッタリ合うことはない)

を 婚姻の際の 夫婦の結束に擬え、華美な装飾を施して 婚姻の際の 結納品の一つとしていたようです。


  家紋

家紋は 和的な 紋章 ・ マークとして 認識されていることも多く、代々伝わる 有名な家紋も 沢山あり (水戸黄門の葵とか)

昨今の 和ブームが 火付け役で、ちょっとした雑貨にも 家紋つきのものがあったりします。 和雑貨屋さんでは 手ぬぐいに

模様として印刷されていたり、和の文様をベースに 若い女性も 使えそうな 可愛らしいバッグや 小物なども 見かけます。

最近は オシャレ的な要素として 取り入れられることが多い 家紋ですが、その中には 貝殻モチーフのものも 存在します。

調べてみれば 家紋自体、結構広いジャンルから モチーフを作られており 季節や 動 ・ 植物など 様々あり、多彩です。

ということで 比較的 良く見かける中で 個人的に 好きな家紋を 下に 一部あげてみることに・・


左から・・
  • 尻合わせ三つ雁金 (かりがね・雁金)
  • 丸に千鳥       (ちどり・千鳥)
  • 伊熊野生神社    (ともえ・巴)
  •   

    ということで、このあたりは 比較的、良く見かけるもので 珍しくもないけれど 貝の家紋は 何とも 微妙な感じだったりします。

    個人的には いまひとつ ですが、2点ほど 紹介。


    左から・・
  • 丸にいたら貝 (いたら貝=イタヤガイ・多分) 
  • 三つ貝     (ホラ貝っぽいか?)
  •  

    イタヤガイが 兜の後面に見えるのは 私だけでしょうか。昔は イタラガイと 呼ばれていた?? でも イタヤガイと 表されている

    家紋もあるので 違いがわからない 私の頭には 「?」 が 回っています。 家紋が出来た 時代を 考えてみれば 貝といっても

    今みたいな お洒落な種は 当時 発見されていなさそうだし、三つ貝の貝は ホラ貝あたりが妥当なのか? と 想像を巡らす。

    家紋も 揚羽蝶は平家、笹竜胆は源氏で 使われているので 戦出陣の 合図のホラ貝音と 関連させて 考えてしまいます。

    そう考えると やっぱり イタヤガイが 兜に見えてきますね。 貝の家紋には その他、蛤などもあります。

    画像の製造 ・ 販売元は http://www.efontshop.com/kamonlnk.asp になります。


      生きる化石

    オキナエビス貝といえば 沢山のコレクターがいる 赤い模様が 特徴的な 巻貝です。

    が、この貝のルーツをたどっていくと・・ 今から 4億年前の シルル紀まで さかのぼっていきます。

    シルル紀に 栄えたとされる オキナエビス貝、当時の姿から 進化する事なく 現代も 生存している貝。

    そこから 「生きる化石」 と言われています。オキナエビスについては Origin でも 由来について

    少し触れていますが、時と共に 移ろいゆくものが 多い中で 変わらずにいるということは 奇跡に近いですね。

    ( 右図は 私の所持する コレクションの ベニオキナエビスガイ です。 ご参考までに・・)


      学名について

    貝に限らず 生物には 学名がありますが、貝につけられた学名は 美しい単語が 多く 使用されています。

    全ての分類は 分類学の父と呼ばれる 「 カール フォン リンネ・Carl von Linne 」 により 分類 ・ 命名されています。

    生物の学名は 「二名法」 で定義 ・ 体系づけられ、属名と 種小名の 二つから成り立っています。いずれもラテン語、又は

    ラテン語化した 単語を用いており、属名には 名詞、種小名には 形容詞が 使用されて 個々に 学名がつけられています。

    端的に 人間に例えるなら 属名は 苗字にあたります。

    左図は ウィリアム ・ ブーグローの 「ヴィーナスの誕生」 ですが、ヴィーナスが 立つのは

    大きな二枚貝(シャコ貝)の上。 海の泡から誕生したといわれるだけに 納得ですね。

    冒頭で美しい単語が 使用されているとありますが、学名は Venus Aphrodite 等ど

    美の女神を示す 単語が 属名に使用されています。 Aphrodite は ギリシア神話の

    美の女神で ローマ神話の (Venus ・ ウェヌス ) と 同一視されてます。

    海に関連する 貝の学名には、もってこいの 単語かも知れません。

    Venus Aphrodite に 関しては 二枚貝 ・ ゴカイ類の 属名に 使われています。

    そして タカラガイに 関しても 美の女神を指す 属名が 当てられています。

    タカラガイの属名は Cypraea となっていますが、この Cypraea ・ キプラエア は

    ギリシャ語の Kypris (キプリス = ラテン語で Venus ・ ウェヌス ) から由来した

    ラテン語の Cypria ・ キプリア に拠ります。また、このキプリアは ギリシア神話では アフロディテに 相当することからも 納得。

    タカラガイは Cypraea と表記することもあれば Cowrie と表記されることもあります。Cowrie ・ カウリィ とは ヒンズー語になり

    やはり何かの女神を 指す言葉のようです。

    ほんの少しではありますが 調べてみると 貝類に関しては 言語は違えど 女神に相当する語が 属名に用いられていることが

    わかりました。 が、タカラガイの属分類に関しては 必ずしも、これに 当てはまるわけではないようで 研究者によっては

    Zoila、Maruritia などの 属名をつけていることもあるようです。興味ありますが 全て納得する頃には 頭がハゲそうです(笑)

    ※ Venus は ローマ神話では ウェヌスとされ、英語読みで ヴィーナスとなります。

    ※ カール ・ フォン ・ リンネ : スウェーデンの博物 ・ 生物 ・ 植物学者


      貝毒 〜ツブ(ツブ貝)〜

    貝毒というと 色々ありますが、例えば アンボイナのように 刺して毒を注入する 外部的なものと、貝を食べて 中毒を起こす

    中るタイプのもの と 分かれてきます。 今回は 中る方の 毒のお話です。


     今回は ツブ (ツブ貝)の 毒について、少し まとめたいと思います。まず、ツブと呼ばれるのは エゾボラ類の貝になりますが

    アヤボラ (ケツブ)、エゾボラ (マツブ)ヒメエゾボラ (青ツブ) とあります。その他 いくつかある 種の中で

    共通する特徴は 内臓 ・ 唾液腺 に中毒を起こす 毒が含まれるという事。 貝に親しみが無い人は それすら知りません。

    一般的に スーパー、百貨店など 大抵のところは 硬い殻から 出して内臓を取り除き、販売されている事が 多く 個人店では

    場合により 殻つき ・ 未処理で 売っている所もあるようです。キチンと 貝の知識がないと 手を出すには 少々 怖いですね。


    さて。 ここから先は 「 ツブの毒について 無知な状態である 」 ということを 前提に 話を進めて行きたいと 思います。

    殻から出して 販売されている場合、 内臓は 取り除いてくれてあるけれど

    唾液腺に関しては 貝の内部に 内包されてしまっていることから 外さずに そのまま販売している 店舗が殆ど

    唾液腺(毒) がついたまま 堂々と 販売していることになります。そして唾液腺には毒がある、という 表示札が出ている

    親切な店舗は、ほぼないと 見てかかってよいと思われます。 怖い話ですよ、ほんと。


     ここで ちょっとした統計話ですが、一般家庭における ツブを食す割合を 比較すると 関東に比べ、北海道 ・ 東北の方が

    圧倒的に多いようです。 ゆえに食す機会が 多いことから 馴染みの食材であり 飲食関係者でない 一般主婦の皆様も

    ツブの内臓 ・ 唾液腺に 中毒を起こす毒がある ということは 当たり前の常識として 知っているわけです。

    結果、キチンと 除去後に調理をするため 滅多なことでは 中らないわけです。が、関東の場合は、少し状況が 違ってくる。

    北方面に 比べれば ツブの消費量的には 落ちるわけで 勿論、博識で知っている方も いらっしゃるとは 思いますが

    内臓なら まだしも唾液腺に 毒があるということを知らない率は 東北に比べ 圧倒的に上がることは 想像に 容易いわけです。

    知らないため、唾液腺を除去しないで食した結果、中ったという事例も 多いわけで 何とも 苦いお話です。


     ここからは 唾液腺に含まれる、にっくき 毒の正体とは 一体 何ぞや? という話に なってくるのですが 毒素の名前は

    テトラミン といいます。 厄介な事に テトラミンは 加熱しても 毒が分解されません。 起こる確率の高い 中毒症状は・・


    眩暈 ・ 一時的な 視力の大幅低下 ・ 船酔い感 ・ 吐き気


    などなどが 代表的で、これらの症状が 食後30分から 2時間程度で 表れ始める らしい。

    体質や体調、状況により 症状が出ず セーフの人もいるようですが、食べる場合は 自身で 捌けるのであれば 、自身で 捌き

    捌けない場合は、最低でも 捌いた後の貝であるかをシッカリと確認してから、購入 ・ 口に 運びたいものです。

    最も 気になる 毒の強さですが、死に至るようなものではなく 死亡例は 現時点ではないとの事。 中って 症状が 出たとしても

    一般的には 2〜3時間程度で 回復するらしいですが、人によっては、それ以上 長い時間 中毒症状に 苦しめられる場合も

    あるとのこと。 専門店以外で 食べるときは、特に 注意して 口に運ばなくてはならないでしょうね。


     では、唾液腺って どんな形状なの? と気になりますが、画像説明が 優秀なサイトさんの アドレスを 掲載するので

    知らない方、ご興味のある方は 是非 飛ばれてください。 ( 他力本願っていうの禁止 ・ 笑 )


    参照リンク → ツブ貝 ( バイ貝 ) による 食中毒に ご注意!


    とにかく 無知は怖い! と シミジミ思うのですが、もう一つ 思うのは 中毒を 起こすであろう部位を 含んで 発売している

    ということを 販売店舗側でも、キチンと 表示すべきだと 思うんですよね。

    鮮魚店など プロの立場から言えば 知ってて当たり前でしょうし、そんなの知らないなんて 非常識と 言ってしまえば

    それまでですが 知らない人が 存在するのも事実で 結構いるわけです。 食す機会が 多いかどうかによっても 変わります。

    こういう不親切の結果が 中毒を 引き起こし、医者に 駆け込む話に 発展するわけだから、鮮魚関係の方には悪いけれど

    もう少し 気を配って欲しいと思う次第です。特に、関東圏には 絶対に 必要だと 思うんですよね。

    「 唾液腺( 毒の部分 )を 取っていない未処理の品です、もし 自分で 取れない お客様は申告してくれれば 除去します。 」

    くらいの 告知板や サービスがあっても いいのではないだろうか・・ と 思いつつ、このMemoを まとめる 管理人なのでした。


    最後に・・ ツブは 相当ヌメヌメと ヌメるので 塩揉みして 洗い流すと ヌルヌルが 撃退出来ます。

    蓋つきのものも 多いと思いますが、結構 ガッチリ 強固に くっついているので 慣れない方は 指先ご用心。


      蝸牛 と 蛞蝓

    梅雨時期になると 良く 比較される カタツムリ と ナメクジ。視覚的違いを 述べるのであれば 殻のあるなしですが

    実は 殻のあるなし以外でも、大きな違いがあります。 内臓的な 意味合いで言えば


    カタツムリ には肺がある ということです。


    知った時は カナリ驚きましたが、あんな 小さな中にも ちゃんと肺があるのだそうです。大したものです。 軟体動物ながら

    結構な進化を 遂げているようです。片や、殻なし 外見的にも 疎ましがられ、色々な意味で 劣勢と思われる


    ナメクジ ですが、実は セルロース を 消化できる という 珍しい性質を 持っています。


    中々、優秀な点もあるようです。 まぁ 優秀ですが、言ってみれば 繊維質である セルロースをも 消化するということは

    家庭菜園や 農家の方々にとっては、まさに 頭痛の種。それは 駆除するってものですよね。

    また ナメクジは 殻が退化した カタツムリの進化系とも 言われています。定かではないものの 頭部から 中心に向かう辺りに

    白い 膨らみのようなものが 確認でき、それが 殻が 退化した跡であるという説や、ナメクジの背中を 刃物で 割ってみると

    小さな巻貝が出てくるなどの 説もあるようです。


     ちなみに カタツムリについては、ちょっと 面白いと言いますか、なるほどと 思える瞬間を 見たことがあります。

    まだ成貝になっていない カタツムリだったのでしょう。 昆虫採集をしていた 子供達が カタツムリを取ろうと 殻を 無作為に

    掴んだところ 殻口に圧がかかったのか、ヒビが入り 崩れかけてしまいました。 これは一大事。マイホーム 崩落の危機です。

    驚いた子供達は 一様に 「まずい」 という顔で バツが悪そうに即 その場を去りましたが、どうするのか・・ と 気になって

    そのまま様子を 見ていると、カタツムリは 即座に崩れた殻口周辺を 粘液のようなものを 泡状に出して 固め始めたのです。

    即興リフォームのように思え、感心した事があります。身を守る術を ちゃんと備えてるんですね。ナメクジは どうだろう?


     また カタツムリ、ナメクジ共に 寄生虫や 人間に害を及ぼす 菌を沢山つけています。うっかり 手に触れた時や カタツムリの

    観察などで、直に 手に触れた場合は 綺麗に 手洗いをしましょう。石鹸や ハンドソープで 丁寧に洗えば 心配ないようです。


      帆立貝イロイロ

    食用の貝といえば、真っ先に 思い出すのが ホタテ ・ アサリ などの 二枚貝類かと 思いますが 今回は 定番ともいえる

    ホタテガイについて 参考サイトを 拝見しつつ 少し まとめてみました。


    前回 取り上げた ツブ に比べ、毒もなく 肝を取るだけで 簡単に 調理できるという点からも、食卓に 上りやすい ホタテガイ。

    その性質は、冷たい海域を 好み、国内でも 寒さでは 1 ・ 2を 争う 北海道 ・ 青森県 ・ 宮城県等が 主な産地とされており

    平均水温が 20℃以上の海だと 生きられないそうです。 国内生産の 約90%以上が、これらの地で あるのも 納得できます。

     また、養殖地に 関してですが 具体的な地域としては、ホタテガイの 養殖発祥の地である 青森県の 陸奥湾を 始めとし

    北海道オホーツク沿岸などの 北日本が 中心とされています。近年、養殖技術が 進歩した点からも、岩手県 や 宮城県にも

    養殖地が 広がっています。 北海道 ・ 青森県では、養殖も 盛んなため、ホタテを 地域のブランド貝として 販売しています。


    【ホタテガイの仲間】
    似たような形の二枚貝は沢山ありますが 私達の生活の身近で

    食用としての 他種を、あげると イタヤガイ ・ アズマニシキガイ ・

    ヒオウギガイ などがあげられます。ホタテガイの生産地が 北日本

    である、ということは 前述にもありますが 仲間とはいえ 産地は

    異なるようで イタヤガイ ・ アズマニシキガイに 関しては 全国分布とされてはいるものの イタヤガイは 主に 島根県など 一部

    地域、アズマニシキガイも 宮城県の 一部地域で見られるようです。 ヒオウギガイに 関しては 冷水でなく 温水を好むようで

    南方の四国 ・ 九州方面が 産地のようです。ヒオウギガイは 身の色は赤味を帯び、貝柱は 大変に 旨みが強いとされます。

    殻色が 鮮やかで 多彩な事でも有名。これは 品種改良された事から 起こった現象のようで 現在、沢山の色が存在します。

    (図の 左側画像は イタヤガイ : 右側画像は ヒオウギガイの 稚貝で 紫色個体と 橙色個体になります)


    【ホタテガイの生活】

    これは ホタテガイに限らず、ある程度の貝が そうかとは思いますが 生まれた稚貝は 一ヶ月強、漂流生活をして 過ごします。

    その間に 海草や 海中の物体に付着し 成長、主に水深 10〜50m の 砂や小石の多い場所に いることが多いです。

    そんな ホタテの 最大の天敵は ヒトデ。その他、外敵とされる 寄生虫などから 逃げながら 主食である 植物プランクトンを

    摂取し 大きくなります。 3年程で 殻幅 10〜15cm程になり、成貝になります。稚貝の殻は 個体により 色 ・ 模様が異なり

    殻だけなら 別の貝のように 思えるのですが 成貝になると 同じ色になるようで、これもまた 海洋の神秘の ひとつですね。


    【ホタテガイの栄養】

    貝類は 旨み成分が 多いとされていますが、その中でも ホタテガイは 甘みが強く 癖も少ないので、好まれやすい貝です。

    主な 栄養素として アラニン、アルギニン、タウリン、グリシン、亜鉛、セレンなど 他にも 沢山の栄養素が 確認されています。

    また 春夏にかけ 貝柱に グリコーゲンが 大量に 蓄えられることから、更に 旨味を 増します。そのため 初夏から 夏期にかけ

    ホタテガイは 旬を迎え、最も 美味しい時期になります。それを過ぎると 卵を持ち始めて 身が痩せてきてしまうのだそうです。

    また 前述にもある 栄養素の タウリン は、コレステロールを 軽減し 血圧を下げたりする 栄養素とされ、 成人病 や 加齢に

    よる症状にも 効果があるとされています。


    その他、近年の 研究結果で 特筆すべきは、ホタテガイには 糖タンパク質など、ガン細胞の 抑制作用が 期待できる成分を

    含む事が 明らかになったそうです。これら物質は 免疫細胞を 活性化させる働きがあり、従来の 抗ガン剤のように 直接

    ガン細胞を 攻撃するものではない為、他の大切な 内臓細胞まで 破壊することもなく 体全体の免疫力を高め、尚且つ

    ガン細胞の増殖を 抑制できる可能性を 秘めているとのこと。 新たな抗ガン剤としての実用化が 期待されているそうです。

     また 民間療法(笑)的な、内容でも 一つ。以前にも 取上げましたが、ホタテの殻には 何と 水虫を撃退する 成分だったり

    殻を 粉末にして 水と混ぜ、野菜などの食品に スプレーすることで 鮮度を保つことが 出来る効果も 確認されています。

    ホタテガイは 身も殻も 色々と、嬉しい可能性を 秘めている貝のようです。特に 殻は ECO素材としても 使えそうですね。


      マウスユニット

    ネーミング的には 貝には 関係なさそうな感じですが、これは 貝毒の致死量を表す 単位のことです。 マウスユニットとは・・


    体重20グラムの マウスに 毒性物質 ( 貝 ・ フグ毒 ) を 腹腔投与した際の 致死量単位のことを 指します。

    麻痺性貝毒で 15分、下痢性貝毒なら 24時間で 死亡させる毒量を 1MU (マウスユニット) と 定義づけた

    単位のことです。



    が マウスの数値では ピンときませんね。 そもそも マウスで計って 意味があるのかも 謎です。

    ということで 多少の個人差や 毒の種類などで 違いはあるものの、人間に当てはめる 目安として


    体重 60kgの人の 致死量は 凡そ 3000〜20000 MU と 考えられている。


    ようですが、これも 素人には ピンとこない話です(苦笑) 振れ幅が 広すぎて、掴みづらいですが 数値上は そのようです。

    体質 (体重?) により 中毒になるか 否かは、この 振れ幅のせいも 多分にあるのでしょうね。

    「では、体重 120キロだったとしたら 倍の 6000MU くらいまで 平気ということですよね?」 と 思いがちですが

    一般的には 3000 MU が 人間の致死量とされているのだそうです。 そうなると 20000MUまでの 幅があるのは 何故?

    と思うのは、きっと私だけではないことでしょう。 体重より体質、或いは 生に 対する執着の差 によるのでしょうか?(笑)


     では 具体的に 貝毒とは何? という話になりますが タイプとしては 二種類あり、貝そのものが 生まれながらに 持っている

    既存毒 (参照として 【アンボイナ:イモガイ類】 ) タイプと 貝自体に 毒はないが 主食とする 植物プランクトンで 毒を含むもの

    を 多く摂取したことから、外部より蓄積された 蓄積毒タイプ と 分けられます。 今回は 後者の 蓄積毒タイプの お話です。

    一般的に、この 毒持ちのプランクトンの事を 貝毒プランクトン と呼んでいます。 海域の一部に 時として貝毒プランクトンが

    大量発生すると、その付近の貝は 貝毒プランクトンを 摂取します。 多く 食べるほど 体内に 毒が蓄積されますが 貝自身が

    命を落とす事はなく 普通に 成長していきます。当然、見た目の 違いはわかりません。この毒成分は 煮焼きし、火を通しても

    消滅することはないため 摂取した場合、個人差はあれど 麻痺 ・ 下痢等の 中毒症状を 引き起こし 病院送りにさせられる

    実にケシカラン 困った毒です。




    一般的に よく知られる 毒の種類は 麻痺性貝毒 ・下痢性貝毒 です。 公表される 成分として 代表的なものは・・



     麻痺性の毒・・ ゴニオトキシン ・ サキシトキシン

      神経筋肉系を 強力に麻痺させます。フグ毒に 匹敵する 毒力があるとされ、食後 30分程度で 症状が

      出始め、顔面痺れや、眩暈などが 表れます。毒性が 強い場合は 全身に麻痺が 広がります。



     下痢性の毒・・ ディノフィシストキシン

      やはり 食後 30分程度で 腹痛 ・ 下痢の症状等が 表れてきます。

      の他、貝を食べて 「 ここはドコ? 私は誰? 」 的な 記憶喪失性 貝毒 も あるようです。



    日本では 昭和50年代に 貝毒による 食中毒が多発したことから 防止策として 水産庁より 一定基準が 設けられました。

    現在の食品衛生法では


    可食部1グラム中に 含まれる 麻痺性貝毒は 4MU以下、下痢性貝毒なら 0.05MU以下


    という 規定が定められ、これを 上回った場合は 出荷出来ないことになっています。

    主に 影響が出やすいのが 二枚貝とされており アサリ ・ 牡蠣 ・ 帆立等、食卓に 上りやすい貝は 心配になりますが

    全国的に 厳しい検査を経て 出荷されるので 店頭に並んでいるものは安心。また貝毒プランクトンも 常時いるわけではなく

    未発生エリアの貝は 品質管理に 問題がない限りは 勿論、 優良品質の貝になるので 安心です。

    よって プロの判定を 受けたもの以外、正規ルートで 入手しなかった場合は 大毒持ちの貝を 食べるリスクが 上がります。

    基本、店頭に並んでいるものは 検査済みの安全なものなので 毒の心配はないですが、少し前に触れた ツブ等 販売店で

    殻付き販売の際など、毒部分を 取り除けない貝もあるので 貝を扱う際は、気を 引き締めないとならないのです。

    まぁいっか! は 命取り。扱うのが 初めての貝 (特に殻付) は 購入時、絶対に毒について 確認することを お勧めします。


    ちなみに アサリ ・ ハマグリ等の 二枚貝は 基本的に 殻が開いていないものが 鮮度の良い目安。 また スーパー ・ 百貨店

    などでは 鮮度の管理が、ズサンになっている所を 多く見かけます。海水抜きの パック詰めで 店頭照明の 近くにある場合は

    良く 見定めましょう。 夕方あたりに見ると 一日 照明に 照らされている為か、足が うにょうにょ と出ています。ご注意。


      コンクパール

    パールといえば アコヤ貝を始め、いくつかの母貝となる 二枚貝があって 形成されるものが 大多数です。

    身近なパールは、そのようなイメージですが 今回テーマの コンクパールは 少し事情が違ってきます。



    【 コンクパールって? 】

    まず 簡単に説明すると コンクパールとは 濃い サーモンピンク色をした 不定形の 美しい真珠のことです。

    真球体のものよりは 楕円形などのものが多い。 貝の個体色と パールの色が 比例している事が多く 個体色は 濃淡様々な

    ピンクや 褐色、白色のものなども 存在します。また 特徴として パール本体に 火焔模様が見られ 通常の真珠に 見られる

    真珠層がなく 稜柱層で出来ている事などが上げられます。 真珠層がないことから コンクパールは 真珠ではない、と言う

    一部意見も あるようですが 国際 貴金属宝飾品 連盟 ( シブジョ:CIBJO )  の 定義集の中で コンクパールは

    正式な 真珠とされているようです。

    また、パールの 母貝は アコヤ貝など 二枚貝の印象が強いですが、コンクパールの 母貝となる 「コンク貝」 は 巻貝です。

    主に 中米で 食用とされている 「 クイーンコンク 」 が それにあたり 一般的な 個体名は ソデボラ科に属する

    「 ピンク貝 : Strombus Gigas 」 です。

    価格も 2千円前後と 非常に安価なので、母貝の入手は 至って簡単。名の如しで 口の付近は 光沢があり ピンク色が

    美しいことから 室内観賞用にされたり 「コンクシェル ・ カメオ」 として、アクセサリーの 加工もされています。

    価格は サイズ ・ 品質にもよりますが、庶民の手が 届かない程の 高いものでないという 認識で良いでしょう。


    http://www.j-wizem.com/Jewelry/NaoSele.htm ←参考リンク

    http://www.j-wizem.com/Jewelry/shell2.html ←コンクカメオ参考リンク



    【 コンクパールは 何で高いの? 】

    コンク貝の 採取地は 主に、フロリダ沿岸や カリブ海一帯があげられ 「食用」 として 扱われます。 地元の人々にとっては

    蛋白質を 補う食品として、パールより 身を 重視する傾向が強く パールの為の 漁はしないので 入手するのが 大変難しい。

    業者と提携し、パール探しをしてから 身を捌く場合は、その限りではないですが 仮に パールがあったとしても、大抵は

    地元漁師のところにある可能性が高いので、パールを 収集するには 漁師巡りという 大変な 骨折れになるのは 必至です。

    また コンクパールの 採取率として 1000個に 一つ出るか どうかの 稀少さと 言われています。 濃く 美しい サーモンピンクで

    更に、火焔模様が 美しくサイズも 2ct以上の 高コンディションとなれば 母体の価格からは、想像もつかないような金額が

    つけられることになります。 高い パールというと 日本では 花珠真珠が 高価で知られますが、花珠真珠など 足元にも及ばぬ

    高値がつけられ、コレクターにとっては まさに 高嶺の花と言うに 相応しい代物だったりします。

    ( とはいえ、庶民の私からすれば 花珠は 十分に 高価ですが・・笑 )

    http://www.j-wizem.com/Jewelry/NaoSeleshop.htm ←参考リンク


    【 更なる珍品 ・ ホースコンクパール 】

    上にあるように コンクパール自体も 相当な 珍品なのですが、その上を行く 珍品中の 珍品パールがあります。

    その名を 「 ホースコンクパール 」 といいます。 母貝は アクキガイ超科 エゾバイ科 イトマキボラ亜科に属する

    「 ダイオウイトマキボラ : Pleuroploca gigantea 」 から 産出されるものです。

    ホースコンク と 呼ばれる由来は、貝殻の後ろに 馬の尻尾のような 突起がある事から取られたようです。

    採取率は コンクパールの 千分の一の 確率に対し、万分の一 出るか、殆ど 出ないとされる 珍品中の 珍品。

    そのため、ホースコンクの方は、採取率が ほぼない事からも 悲しいかな 焼く前にパールを 探すこともなく 貝肉を焼き

    火が通ってから 気がつくことが 殆どのため、加熱による 亀裂が入り 悲しい結果になる事が 高いと 想定されます。

    ( そんなありがたい 体験が出来る人も ごく僅かでしょうが ) そんな状況にあるので ホースコンクパール で

    尚且つ、火入りでなく(笑)、傷欠けのない完品が 出てきた時には 博物館入りになると 思われるほどの 稀少性です。



    【 養殖モノは一切なし 】

    パールというと ある程度の リーズナブルな価格のものの場合は、大抵が 養殖ものとされており、それにまつわる 養殖産業も

    盛んなのは ご存知の方も 多いと思います。

    老舗 ・ ミキモトの 創業者 「御木本 幸吉氏」 が 世界初 ・ 真珠の養殖に 成功した事は、あまりにも 有名な話ですね。

    よって 天然物と 養殖物では当然、価格に違いがあるのも 納得ではありますが、コンクパールは 巻貝のため 養殖が難しく

    今、市場に 出ているものは 全てが天然物ということになります。ましてや 採取率が 低く 奇跡の GEMグレードとなれば

    価格が 跳ね上がるのも 納得です。まさに 真珠の 女王の風格です。 ( GEMグレード:傷欠なし完品のこと)

    コンクパールが 女王なら、ホースコンクパールは キングといったところで、花珠は プリンセスでしょうか(笑)


    養殖技術も含め パール業界における 日本のパールは 秀逸ですが、後日 養殖ものと 天然ものの違い等、パールのアレコレ

    について 広く浅く イロイロ 触れる予定です。


    参考リンクは ジュエリーワイゼム様 のサイト内のものです。

    コンクパール獲得 に 乗り出す御方は 是非是非サイト内を ご覧になってくださいませ。美しさ 目白押しです。